おまえのちいさなプライドなどコンマリしてしまえ

お片づけコンサルタントのコンマリこと近藤麻理恵さんがアメリカでブレイクしている。日本で2011年に出版した書籍が100万部を超えるベストセラーになり、海外でも翻訳されて人気になっていたらしい。そして、2019年1月にNexflix「Tidying Up with Marie Kondo」がスタートした途端に大ヒット、現在、全米にお片づけ(Tidying Up)ブームが吹き荒れているというのだ。Nexflixに加入してないので番組はまだ見られていないが、番組のヒットのおかげで様々な人気バライティショーにコンマリさんが引っ張りだこの様子。

番組ではコンマリさんは英語を話さず、通訳の飯田さんと二人で一般家庭のお部屋のお悩みを解決しにくる。コンマリさんも飯田さんも、アメリカ人に囲まれると圧倒的に身体が小さく、特にフェミニンな衣装のコンマリさんの動作が独特で、まるでティンカーベルのようだ。

そんなコンマリさんが提唱するお片づけの基本“コンマリメソッド”には、片付けをする前に正座をしてお家に感謝する...などなどの、アジア風?謎スピリチュアル儀式が盛り込まれている(演出だと思うが...)。捨てるか捨てないかの判断に迷ったら、その物に触れた時に胸がキュンとするか(英語にするとSpark joyするかどうか)が判断基準。これを説明する時のコンマリさんのアクションと、それを見たアメリカ人の「はぁ、なんだそれ?」な表情の対比が非常に面白い。

ものに大切にしましょうとか、捨てる前に感謝しましょうとか、日本人にとっては何の新しさを感じない。だけど、この概念を英語に翻訳して的確に伝える言葉にしたのかと思うと、すごい偉業を達成した感じがする。米メディア内でも、相棒の飯田さんが「ブームの陰の立役者」と言われるほど、翻訳・通訳が的確で素晴らしいらしい。

コンマリさんが日本のメディアで話題になっていたとされる2011年前後はちょうどメディア断ちしてたので、どんなブームになっていたのか私はよく知らない。だけど、お片づけ業界?ではコンマリよりももっと先に“断捨離”がブレイクしていたと記憶している。掃除に仏教概念を掛け合わせて心理療法的な効果も盛り込んだ画期的な概念だと思った。漢字+仏教用語のわかりやすさから中華圏でも断捨離は大人気だった。今頃はコンマリ本に入れ替わってそうだが(笑)


ところで、日本で全然流行っていないのに台湾で大流行した日本語がある。村上春樹がエッセイの中で使った造語、小確幸。“小さいけれども、確かな幸福”という意味だ。これが日本ではたいして流行ってないのに、台湾で大ブームになった。(結構前だけど)

“しょうかっこう”って、日本語的に耳障りがよくない。長いけど、大和言葉のままにしておいてくれた方がまだ受け入れ易い感じがする。ところがだ。これが中国語読みのシャオチュエシンだとなかなか良いコピーなのである。

欲望を満たすための物質的な豊かさへの執着を捨てるーーここ10年近くずっとブームが続いていて、しかも世界にどんどん拡散している。最近では極端にものがない状態で生活するミニマリズム(中国語だと極簡主義)も話題だ。人類はこれから先、どういう未来に向かっていくのだろう。そういえば、今日は令和元年元日。この日にふさわしいテーマだったかもしれないなぁ。

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